• 弊所のモットーは「もっと仕事を楽しくしたい。」です。

 

事態が新たに進展し、違う動きが起きそうなので、ご報告までに取り上げます。

 

この変化は「他人事では無い」ので、要注意です。

(もしかしたら、大きな「うねり」になるかもしれません。)

 

 

 

 変えたのは1つの事件です。

 

 

まずは、コチラをご覧ください。

日本経済新聞電子版 「実態解明に期待」「大きな警鐘」 電通違法残業、裁判で審理

 

皆様きっとご存じであろう、「電通」事件の略式起訴に裁判所が「それじゃダメ。」とストップを掛けた

ニュースです。

 

 

まずは「電通」事件の概要から。

 

当時電通社員であった高橋まつりさんが自殺をした事件です。

 

・2015年4月 高橋まつりさん(当時24歳)入社

・2015年10月 本採用

・2015年12月25日 女子寮にて自殺

・2016年9月 「長時間労働によるうつ病」が原因と三田労働基準監督署(東京)が労災認定

・2016年12月 かとく(過重労働撲滅特別対策班)が東京本社へ「特別監督指導」を実施

・2017年4月 厚生労働省が電通社長を任意で事情聴取を実施

・2017年7月6日 東京地検が「労働基準法違反」で法人を略式起訴、しかし上司は不起訴(起訴猶予)処分

・2017年7月12日 東京簡裁が略式命令を「不相当」と判断。通常裁判へ移行する事が決定 ←今回ココ

 

4月に入社して、わずか9カ月での自死。よっぽど辛かったのでしょう。胸中察するに余り有ります。

 

そして今回のニュース内容を抜粋して、引用します。(赤字強調は筆者によります。)

 

政府の働き方改革の議論に大きな影響を与えた電通の違法残業事件は、公開の法廷で審理されることになった。

東京簡裁は12日、同社への略式命令を不相当と判断。労働問題に取り組む関係者らは正式裁判を通じた実態解明に注目する。企業にとって長時間労働の是正は喫緊の課題で「先例として警鐘を鳴らす意義も大きい」との声も上がる

 正式裁判になれば、略式の手続きとは異なり、公開の法廷で電通幹部が供述したり証人が証言したりすることで、同社の労務管理の実態がより明らかになる可能性がある。

 労働基準法違反は軽微な事件として処理されてきたが、長時間労働への社会の目は厳しさを増している。個人責任の追及を含め厳格な態度が求められる」と訴える。

 厚生労働省によると、今回と同様に東京・大阪両労働局にある過重労働撲滅特別対策班(通称かとく)が書類送検した事案では今年に入り、ファミリーレストラン「和食さと」などの運営会社「サトレストランシステムズ」(大阪市)とスーパー運営の「コノミヤ」(同市)に対する略式命令を不相当とする判断が出ている。

 これまでの違法残業事件は企業だけを略式起訴し、業務を指示していた幹部など個人は起訴猶予とする処分が大半だった。だが最近は検察と裁判所の判断にズレが生じている

 今回も検察は「労働時間の長さや被害労働者の人数を考慮」するなど前例に従って処分を決めたが、この判断に対して裁判所が待ったをかけたといえる。厚労省幹部は「事件としての重大性や社会的な関心の高さを考えれば、驚きはない」と評価。「違法残業を許さない社会的な風潮が裁判所の判断に影響を与えたのかもしれない」とみる。

 幹部が出廷しなければならず、電通にとっては重い判断ともいえるが、今後の刑事処分の指標となるとの声もある。

 

東京簡裁が略式命令を「不相当」と判断。通常裁判へ移行する事が決定した事を報じるニュースです。

 

上記の様に今後、公開の法廷に場を移し、審理されれば、当然事件の詳しい経緯も明らかになります。

(自殺の原因が長時間労働によるうつ病の発症だけでは無く「上司によるパワハラ」もあったのではないか?と

の情報もあるように、上司によるパワハラ、その行為を是正しなかった組織の不作為など、つまびらかになるこ

とでしょう。)

 

そして、これだけ知名度と社会的な影響の大きい事件ですから、判決いかんでは、大きな「抑止力」になること

が期待できます。

 

つまり、「あぁ。労働基準法違反は、犯罪なんだ。会社だけではなく、管理者も有罪になるんだ。」という認識

が出来上がるという事です。

 

また、公開の裁判であれば、事件の知名度から、また社名などが大きく報じられる事になるでしょう。

ずっと汚名をさらし続けることになってしまいます。

そうなれば、社会的な制裁(損失)の規模は、見当もつきません。

(当事者としては考えたくも無いはずです。)

 

ですが、一番注目したいのはこの事件をきっかけに裁判所の判断が変わったのではないか。と言うことです。

確かにこれまでは、企業だけが略式起訴され、直接の当事者である個人は起訴猶予とする処分が大半でした。

ですが、今回は裁判所が動きました。

 

以前にも裁判所が世論を機敏に感じ取って、判断を変更していく事案がありました。

 

俗にいう「クレサラ問題」です。

 

「ゴラァァァァ!!金が無いなら、目玉売れ!!腎臓売れ!!」と恫喝して借金返済を迫る音声テープが公開さ

れた事をきっかけに、社会的な大問題にまで発展した事件です。

(ちなみに、恫喝した社員は恐喝と貸金業規制法違反容疑で逮捕されています。)

 

1つの事件をきっかけに、後日「過払い金」返還請求訴訟が日本中で提起され、俗に言う「サラ金会社」のほと

んどが倒産の憂き目にあったことはご承知のとおりです。

 

今回のこの「長時間労働に対する社会的な嫌悪感」も非常に良く似た様相を呈しています。

(しかし今回の「電通」事件に代表される「長時間労働」問題は「クレサラ問題」とは違い、法律の適用の問題

などグレーな部分など無く、文字通りブラックなので結論はストレートだと思われます。)

 

この事件は裁判所の見解が大きく変わる「潮目」の事件の様な気がします。逆にそうあって欲しい。と思うのは

私だけでしょうか?

 

 

最後に

 

 

「電通」事件のようなケースは今後あってはならない。これからは(も?)キチンと審理していく。

と言う裁判所の強い意思表示な様な気がしてなりません。

 

ということは当然、検察庁の方針も変更になるでしょう。

であれば「労働基準法違反」で起訴されるケースが、今後増えていく事が予想できます。

 

そして判例を積み重ねていけば、「労働基準法違反は犯罪です。」が常識になるのでしょうが、まだまだ

時間が掛かりそうです。

 

最後ですが、社労士としては、「労働基準法違反」で起訴された事件でこんな光景見たくありません。