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先日、こんなニュースがあったのですが、「他山の石(他人の誤った言行やつまらない出来事でもそれを参考に

してよく用いれば,自分の修養の助けとなるという意味)*1」とするべく、取り上げたいと思います。

 

時事通信社 ヤマトHD、未払い残業代230億円に拡大=5万9000人分

 

ご存じの方も多いでしょう。 子会社のヤマト運輸が労働基準監督署の是正勧告を受け、「残業代の未払い」を

支払う事としたニュースの続報です。

 

230億円!2年分(賃金の請求権は2年です。労働基準法115条)でしょうから、単純に単年度でも115億円の人件

費の計上漏れ。人件費率の高い業種だと未払い賃金の与える影響は甚大です。

 

参考までに、ヤマトHDの営業利益は29年3月期で348億円、純利益で180億円。今回の未払い残業は30年度以降

(単年度?)で処理されるので、正確な金額は定かではありませんが、企業運営に与えるインパクトの大きさは

一目瞭然です。*2

 

 

さらにこんなニュースも。

日本経済新聞 電子版 HISを書類送検、違法残業の疑い 東京労働局

引用します。

厚生労働省が2015年4月に設置した「過重労働撲滅特別対策班」(通称かとく)が昨年3月、任意の立ち入り調査を実施。同年7月に強制捜査に切り替えて調べていた。押収した労務関連の資料を分析した結果、従業員2人に違法な時間外労働をさせていたことをつかんだ。

 同社では14年以降、違法に時間外労働をさせていたとして、各地の営業拠点が計5回の是正勧告を労働基準監督署から受けていた。是正勧告を受けたにもかかわらず改善がみられなかったことから、東京労働局は立件したとみられる。

 

2015年に起きていた事案なので、会社曰く「違法な状態は既に解消されている。」との言は本当なのでしょう。

しかし、是正勧告を5回受けて、実質改善が見られなかった。なので「悪質だよね。」と悪質性を認定。そこで

満を持して「かとく」が登場。強制捜査。という流れは特筆すべき事でしょう。

 

ネットで「違法残業」とググれば、この手の類のニュースは、枚挙にいとまがありません。

 

本当に怖いのは「かとく」じゃありません。

 

 

違うんです。今回申し上げたいのは、「違法残業=かとく」のことではありません。

今回のテーマはコレなんです。

 

マイナビ 「2018年卒マイナビ大学生就職意識調査」を発表

これは、同社が学生の就職意識、就職活動全体の動向を把握する事を目的に毎年実施している調査の結果報告で

す。

 

いろいろと面白い調査報告なのですが、中でも注目したい部分がコレです。

引用します。(赤字は筆者によります。)

■【就職観】仕事と私生活の両立を重視する学生が5年連続で増加。理系女子では初めて首位に
学生の就職観の1位は前年までと同様「楽しく働きたい(29.7%、前年比0.2pt減)」だった。2位の「個人の生活と仕事を両立させたい(26.2%、前年比1.7pt増)」は、2013年卒調査から5年連続で増加傾向にあり、1位との差は徐々に縮まっている。特に理系女子では「楽しく働きたい」を抜き初めて1位になった。「ワークライフバランス」という言葉の浸透に伴い、仕事と私生活の両立が就職観としてより重視されるようになってきていると考えられる。

 

このように、企業を選別する価値判断に「仕事と私生活の両立=ワークライフバランス」が大きなウエイトを占

めていることが見て取れます。

 

そこでもう一つ。面白いデータを紹介します。

学校法人 産業能率大学 2017年度新入社員の会社生活調査

 

これは新入社員の働く意欲や新社会人としての意識、将来の目標などに関するアンケートの実施結果報告です。

これも引用します。(赤字は筆者によります。)

今年度の新入社員に1ヵ月の残業時間は何時間程度なら許容できるか尋ねたところ、男性の約6割、女性の約8割が「30時間以上の残業は許容できない」と回答しました。
全体では「11~20時間」が27.9%で一番多く、次いで「21~30時間」が24.9%となりました。残業許容時間「0時間」から「21~30時間」までを合計すると約7割となりました。(下図)

 

文字通り、新入社員の7割近くは「月30時間以上の残業」は許容出来ない。という集計結果です。

表で言えば、出勤日数が月22日の会社の場合、「毎日残業1時間」は男性で約37%、女性で約56%が「アウト」

と感じている訳です。

これは「会社に縛られたくない。」という反対解釈も出来そうです。

 

実はこれって、結構「怖い事」ですよ。だって下手をすると、「ヒト」が集まらないんですから。

 

 

仕事はあっても、人がいない?

 

 

上記データで示した様に、新卒採用者(中途採用者も同様でしょう。)は、「更なる労働環境の向上と充実した

私生活との両立」を求めています。その為には、働きたい(働く)企業情報の収集も怠らない事でしょう。

これは、大企業も中小企業も一緒です。(なにせ、自分の事ですから。)

 

(大企業に比べて、中小企業は事前の情報収集は難しいかもしれません。しかしそれは、短期の「離職率の上

昇」という結果で跳ね返ってきます。つまり入ってみて「違う」から辞めるわけです。)

 

 

今後、労働力人口(15歳以上の人口のうち、毎月末の一週間に、収入を伴う仕事に多少でも従事した「就業者」

(休業者を含む)と、求職中であった「完全失業者」の合計数)は、減少していくと予想されています。

独立行政法人労働政策研究・研修機構 労働力需給の推計

 

そんな小さくなっていくパイを奪い合うような状況の中で、上記のような「違法残業のニュース」や「否定的な

口コミ」など、「ココは労働環境があんまり良くないぜっ!」って言う、情報が流れてしまったら、その企業で

「働きたい!!」と思う優秀な人はいるのでしょうか?

 

きっと同条件で、労働環境の良い所に行くことでしょう。

 

ネガティブな情報は、それだけで拡散し易いのは、肌感覚でお判りだと思います。だからこそ、労働環境の向上

を怠ると、「不満の増加」→「離職者の増加」→「業務の負担増」→「不満の増加」又は「かとく」というス

パイラルに陥ってしまい、「仕事、受注はしたは良いけど、処理出来ない。」みたいな事にもなりかねません。

 

その為にも、現在管理職の方は、「企業風土の変革」を行うべきです。

 

思い当たる事、無いですか?(企業風土の改革)

 

 

最後に

 

 

何度も言いますが、契約とは言え、1日の半分近く時間を拘束される「職場」。

「1日8時間労働」って、オプションはついてません。(労働基準法 第32条第2項)

 

楽しい方が良いに決まってます。(キッパリ。異論は受け付けません。)

 

「働き方改革」と称して政府が打ち出す施策の数々。「う~ん。」と首をかしげるモノもありますが、

概ね賛成で、心底「働き方」が変わればいいなぁと思います。

 

いやいや、違いますね。

変わるのを待つだけじゃなく、少しづつ、変えていきませんか?みんなで。

 

 

 

 

*1 わたしは意味を取り違えておりました。意味、用法はこちらからどうぞ。

文化庁 「他山の石」の意味

*2 ヤマトホールディングス 決算短信(サイト) 平成29年3月期(PDF直リンク)