• 弊所のモットーは「もっと仕事を楽しくしたい。」です。

 

いつもの事ながら、行政官庁の方々には、ブログのネタを投下して頂き、本当に感謝しております。

(いやいや。皮肉ではありません。)

 

今回はコレです。yahooニュース 安倍首相「キッズウィーク」導入を検討、「子どもの人間性育むのに重要」

 

ご存知の方も多いはず。

 

これは、全国の学校で夏休みなどを分散し、それにあわせて大人も休めるよう推進する試みです。

 

以下、抜粋、引用します。(強調は筆者によります。)

 

・政府が「キッズウィーク」という新たな大型連休を創設し、来年4月から全国の学校で夏休みなどの長期休暇を分散し、それにあわせて大人も休めるよう推進する。

・「キッズウィーク」では、全国の地域ごとに小・中・高校の夏休みなどの長期休暇の一部を他の平日に分散

・休みを別の月に移動して、親などの大人も一緒に休暇を取れるよう、政府が企業などに強く求める

有給休暇の取得を促して「休み方改革」を進めるとともに、観光需要を分散して地域の活性化をはかる狙い

 

この決定、平成26年10月15日、内閣府の経済財政諮問会議内「休み方改革ワーキンググループ」の提言から構想を得たようです。

内閣府 休み方改革ワーキンググループ(参考までに、第3回会議の配布資料・参考資料、共に面白いです。)

 

過去にも似たような制度があるんですが・・

 

つい最近ですが、平成29年2月24日から「プレミアムフライデー」の運用が実施されているのは、皆さまご存知

でしょう。

これは、毎月月末の金曜日は、午後3時までに仕事を終え、買い物や食事、旅行や趣味の時間などを楽しもうとい

う趣旨です。

 

プレミアムフライデー事務局 月末金曜日なにしよう?

 

ですが、あくまで、経済財政諮問会議発、個人消費喚起が主たる目的の経済財政政策ですので、

 

乱暴な言い方ですが、個人の労働時間の管理は二の次というスタンスです。

 

(Q 3時で帰ったら、定時までの労働時間はどうすんだ? A だったら総変形労働時間の枠内で消化してよ。

ほかの日に多く働いてね。(ニコッ!)っていう感じです。)

 

近畿経済産業局 月末金曜日はプレミアムフライデー

 

*ここのサイト(3.課題と今後の展望)にもあるように、全く恩恵に与れない業種、企業規模があると国の政策

の改善点を指摘しています。まさしくその通り!で、全国規模の導入は、恩恵に与れない業種、企業規模が大多

数を占める以上、実現は出来ないでしょう。

 

 

そして、ハッピーマンデー制度です。

こちらの制度も皆さま、よくご存じかと思われますが、一応説明を。

 

月曜日に国民の祝日を振り替える事によって土・日・月曜日と合わせた3連休とし、余暇を過ごしてもらおうとい

う趣旨で制定されたようですが、実際のところ、

こちらも経済財政政策です。(根拠なし!よし。言い切った。)

 

(wiki ハッピーマンデー制度) (内閣府 「国民の祝日」について

 

このハッピーマンデー制度、なかなか面白い調査報告があります。それがコチラ。

(一般社団法人 中央調査社 「祝日」に関する調査 (第2回)(リンク先PDF))

以下抜粋して引用します。

 

・今より祝日を増やした方がよいか、減らした方がよいかたずねたところ、「今のままでよい」という回答が圧倒的に多かった(71.3%)。

・祝日法の改正により、「成人の日」「海の日」「敬老の日」「体育の日」を月曜日にし(ハッピーマンデー)、以前より3連休が増えたことについて好ましいかたずねたところ、「好ましい(計)」が53.6%

・10月の「体育の日」と11月の「勤労感謝の日」を11月3日の「文化の日」の前後に移動させて、土日や振替休日を利用し、長めの連休を取る「秋の大型連休」という考え方の賛否を聞いたところ、「取り入れない方がよい(計)」という回答が6割近く

(2015年12月 調査)

 

この調査を見る限り、制度の認知はされているようですが、思ったより好評価が伸びなかったのかな。

という印象です。

 

そこでようやく、今回の「キッズウィーク」の話しです。(長い。)

 

既存制度の運用方法をかえてみたら?

 

今回の「キッズウィーク」も「プレミアムフライデー」と同じように、

経済財政諮問会議が統括しています・・・。

なので、「休み方改革」と銘打っても、所詮は経済財政政策の一環なので、労働時間管理がおざなりになる事が

十分に予想されます。

 

そして、ニュース引用部分「親などの大人も一緒に休暇を取れるよう、政府が企業などに強く求める」と

あるように、政府が企業に年次有給休暇の取得を企業に強く求める方法は、(「強く」がポイントです。)

「年次有給休暇の計画的付与」しかありません。

(e-gov 労働基準法 第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇 第39条6項

 

この制度は、労使協定を締結し、年次有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、有給休暇の総日数のう

ち5日を超える部分については、定めにより有給休暇を与えることができる。とする制度です。

(参考までに、当該労使協定は、労働基準監督署への届け出は不要です。)

 

簡単にいうと、年次有給休暇の総付与日数が10日の方は5日分は自由利用の為、残しておく。残りの5日分を、

「計画的付与」として労使協定に基づいた日付に付与する。

総付与日数、20日の方は、自由利用が5日分。「計画的付与」が15日分といった制度です。

 

政府はこの「年次有給休暇の計画的付与」の利用を、企業に強く要望するとありますが、年次有給休暇が労働者の

 

権利と確立されている*1以上、強く言おうが何しようが、そこは「要請」で終わり。です。

 

要請された際の、企業の労使間の協定再締結の場面では、異論が出てこないとも限りません。

(だってどう利用するかは、労働者の自由ですから。)

 

また、年次有給休暇の総日数自体が無い方(例えば、入社6月未満の方やすべて利用した方など)に対しては、会

社都合による休業手当(使用者の責めに帰さない事由による休業)の場合、「平均賃金の60%以上」の支払い義

務が生じるので、そこの補償はどうなんの?といった事も問題になるでしょう。

(e-gov 労働基準法 第26条 休業手当

 

だったら、既存の「計画的付与」制度をうまく使って、

例えば、

①日曜と火曜(祝日)の間の月曜日を「計画的付与」で休日に設定(ほかの曜日でも可)

②土曜日(祝日)を金曜日に前倒しで休日として設定

③上記①、②を設定した場合、「効率的年次有給休暇計画推進助成金」(注 こんなの無いですからね。)

とか助成金を支給する。

 

なんてのはどうでしょうか?

最後に

 

 

「キッズウィーク」やら「プレミアムフライデー」やらわかりやすく伝えよう。との気持ちは分かるのですが、

変に「労働時間を短く」みたいな意味まで付けてしまうので、変な誤解を生んでしまいます。

ここはスッキリ、「消費行動の喚起の為です。」といってもらった方が誤解が無くていいのですが・・・。

 

*上記、架空の助成金のタイトル、センス無さ過ぎて自分でもびっくりしました。もっといいのあるだろっ!

 

*裁判例です(最高裁判例では無い。)ので正確ではないのですが、判例をあげておきます。

有給休暇取得を申請したところ、上司が当該有給申請により評価が下がるなどと発言して有給休暇取得を妨害したこと、総務部長や会社代表者らが上司の行為を擁護した発言などが不法行為に当たるとして、上司、総務部長、会社代表者及び会社を相手取り、損害賠償を請求した事件(労働者が勝訴)

公益社団法人 全国労働基準関係団体連合会 日能研関西ほか事件 大阪高裁平成24年4月6日判決