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先日こんなご相談を頂きました。

「(厚生年金保険・健康保険の加入状況にかかる調査票)という文書が日本年金機構から届いたんだけど。なにこれ?」実はこの文書、何回か拝見させて頂いたことがあったのですが、検討したいと思います。

 

この文書は文字通り、「社会保険の未加入企業に対するちょっとした揺さぶり」なのですが、この先、大きく意味が違ってきます。それは「マイナンバー(法人番号)を使った名寄せの実施と不正企業の迅速な洗い出し」であるからです。

 

厚労省と日本年金機構は14年11月より、国税庁から源泉徴収義務を課されている企業の社名と住所をもらい、加入漏れ企業の特定を進めてきており、マイナンバーの導入で、ついに全件チェックを行いつつあります。

 

この前兆は、国税庁との連携(横の繋がり)が機能している事の証明でしょう。

 

今後は、未加入企業の選別だけでは無く、機構側は国税からの「給与データ」に基づき、「社会保険の適用拡大」該当者の選別が、国税側は機構側からの「給与データ」に基づき、決算書内人件費の差異の抽出を行うと思われます。(あくまでも私見ですが、的外れでは無いと思います。)

 

*参考までに、「人件費」に限って考えれば、「高校生ぐらいの親戚のアルバイト」(分かる方へ。今後は、もう使えません。)は危険です。

 

今後、人件費(給与・法定福利費・福利厚生費etc)は、政府の思惑*1により、上がる事が予想されます。

当然、社会保険の未加入事業所に対する加入督促対策が強化され、企業の法定福利費の負担が大きくなるの

は、間違いありません。

 

法律を盾に人件費を高騰させるのであれば、こちらも法律(制度)をうまく利用して、効率良く組織運営を行

う必要があります*2。

 

そこで表題の「社会保険料の削減」という話です。

(ようやく本題へ突入です。長かった。)

 

昨今、法定福利費の削減(主に社会保険料)が模索されてきました。主な方法は次の通りです。

① 社員の入退社時期の見直し

社会保険料の控除は「当月発生、翌月徴収」が原則です。

なので、「入社は1日、退社は29日」がベストかもしれません。

*入社日が締日と月末の間だと「初回の支給日から徴収が必要になるので注意!」

(詳しくはお近くの社労士までどうぞ。(放り投げました。))

 

② 4月から6月の3カ月の残業代の見直し

「定時決定」というやつです。

日本年金機構 定時決定 (http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20121017.html

「7月1日現在で使用している全被保険者の3か月間(4~6月)の報酬月額(報酬の総額)を算定基礎届により届出」ることになるので、一番調整しやすい割増手当を許可制にして厳しく管理しましょうということです。

 

③ 給与改定を7月にする

上記理由と一緒です。定時決定時の報酬を少しでも減らす為に、昇級・ベアを7月にずらしましょう。

 

④ 被保険者に該当しない(厚生年金の適用除外者)の活用を検討する

国立国会図書館 日本法令索引 厚生年金保険法 (12条をクリック!)

労働時間が正社員の4分の3未満の人(いわゆるパートタイムの方)や派遣社員の活用を検討します。

 

⑤ 賞与の一部を退職金に回す

賞与に社会保険料は掛かりますが、退職金には掛かりません。それを利用して、賞与を減額、廃止して支払う予定の金額を退職金の原資として積み立てます。積み立てる方法は2つ。①社内に積み立てる②社外積立として中小企業退職金共済機構等に預けるです。

 

⑥ 健康保険540万円、厚生年金1回150万円という計算値の上限額を利用して、賞与を毎月の手当として支給する

この方法が一番トリッキーでした(注意!!過去形です。) 

 今更なんですが、ザックリ説明しますと、

「賞与とは、賃金・給料・俸給・手当・賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのもののうち、3か月を超える期間ごとに受けるものをいう。」という定義をもとに、

「3か月を超えなければいいんだよね。」から、賞与全体を「厚生年金保険の等級の上限額(月額60万5千円)に届くよう、毎月支給に振分け」。そして残りを賞与として支給する方法でした。

 

(理解されなくても大丈夫です。もう使えませんから。!!

 

大切なのでもう1回。

 

もう使えません!!

 

以下PDFをご覧ください。

「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正について」(リンク先PDF)(保保発0918第1号、年管管発0918第5号 平成27年9月18日

「「通常の報酬」には、一か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されることとなる場合その他これに順ずる場合は含まれないこと。」

 

とあるので、⑥の方法は「出来ない」ことになり、アウトです。

 

この通知は、平成27年10月1日から適用されているので、年金事務所から指摘を受けることもありえます。

今でも、運用を実施されている事業所さまは、すぐに確認、変更してください。

 

けれど、一番効果の大きかった方法かもしれません。が、代替手段があるといえばあるので回を変えて紹介してみます。

 

*1 最低賃金(全国加重平均値で)1,000円ですよ? 中小企業にどうしろ??っていう話です。この話は回を変えて考えてみたいと思います。

 

(回を変えるばっかりなんですが、ブログネタになるのでご容赦ください。)

 

最低賃金について – 内閣府(リンク先PDF)(www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/0713/shiryo_01.pdf

 

*2 例えば、法定福利費・福利厚生費の上昇抑制として確定拠出年金の利用。社会保険適用拡大該当者の給与上昇部分に「キャリアアップ助成金」(処遇改善コース)を補充。等どうでしょうか。