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など、助成金の紹介をしてきましたが、どうしても気になる点があります。



「生産性の向上」っていったい何なの??



4月からの助成金の申請に際し、「「生産性を向上」させた企業が労働関係助成金(一部)を利用する場合、

その助成額又は助成率を割増」となるようですが、まずはご覧ください。以下、抜粋します。

 

厚生労働省 「生産性を向上させた企業は労働関係助成金が割増されます」

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137393.html

 

〇生産性要件の設定を設定している助成金は次のとおりです。(具体的な助成額又は助成率は各助成金のパンフレット等をご覧下さい。)

(再就職支援関係)

○労働移動支援助成金

早期雇入支援コース、人材育成支援コース、移籍人材育成支援コース、中途採用拡大コース

(雇入れ関係)

○地域雇用開発助成金   ○域雇用開発コース

(雇用環境の整備関係)

○職場定着支援助成金  雇用管理制度助成コース、介護福祉機器助成コース、保育労働者雇用管理制度助成コース、介護労働者雇用管理制度助成コース ○人事評価改善等助成金 ○建設労働者確保育成助成金 認定訓練コース、技能実習コース、雇用管理制度助成コース、登録基幹技能者の処遇向上支援助成コース、若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース、女性専用作業員施設設置助成コース ○65歳超雇用推進助成金 高年齢者雇用環境整備支援コース、高年齢者無期雇用転換コース

(仕事と家庭の両立関係)

○両立支援等助成金

事業所内保育施設コース、出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コース、再雇用者評価処遇コース、女性活躍加速化コース

(キャリアアップ・人材育成関係)

○キャリアアップ助成金

正社員化コース、人材育成コース、賃金規定等改定コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コース

○人材開発支援助成金

特定訓練コース、一般訓練コース、キャリア形成支援制度導入コース、職業能力検定制度導入コース

(最低賃金引き上げ関係)

○業務改善助成金

 

ご覧のように、「生産性の向上」を紐づけられた助成金の多いこと、多いこと

 

じゃあこんなに「生産性の向上」を政府の方針にするということは、よっぽど日本全体の「生産性」(労働生産性)って低いんだろうな。と思って調べてみました。

 

こちらの 「本文ダウンロード」をご覧ください。

 

財団法人日本生産性本部 労働生産性の国際比較(http://www.jpc-net.jp/intl_comparison/

以下、抜粋しながら引用致します。

 

〇労働生産性を 労働生産性 =GDP/就業者数(または就業者数×労働時間)

(購買力平価により換算)

「ふんふん。国際比較する為の指標としてGDPを使うのか!なるほど!」

〇 OECDデータに基づく2015年の日本の時間当たり労働生産性は、42.1ドル(4,439円)。米国の6割強の水準で、順位はOECD加盟35カ国中20位。1人当たり労働生産性は、74,315ドル(783万円)、OECD加盟35カ国中22位。

「ほうほう。2015年はアメリカの6割、世界の22位。低っ。」

〇 労働生産性 日本の変遷

   1970年   1980年   1990年   2000年   2010年   2015年

    19位    20位    16位    21位    22位     22位

「チョットまて。70年代から対して順位、変わってないじゃん。昔から効率が悪かったっていうこと?」

 

〇 法人税率などを低く抑えてグローバル企業の誘致に成功。産業特性的に生産性が高くなりやすい金融業や不動産業、鉄鋼業がGDPの半分近くを占めるルクセンブルクの労働生産性がOECD加盟国で最も高い状況が続いていた。また2015年1位のアイルランドが主要国の中でも極めて低い水準に法人税率を抑えていることもあり、米国企業を中心に欧州本部や本社機能をアイルランドに相次いで移したことが経済成長率を大きく押し上げたためとアイルランド当局は説明している。

「ん?ちがうじゃん。労働生産性が高くなりやすい業種が生産性に寄与するんだったら、日本もオフショア*1並みの税制を導入して、海外企業を誘致出来れば、労働生産性が上がるんじゃない?失業率は上がるかもしれないけど。(けどなおさら生産性があがるよね。)まあ出来ないよね。」

 

〇 経済状況が悪化しているギリシャ(79,979ドル)やスペイン(89,704ドル)といった国の労働生産性が日本を上回っているのは、両国の失業率が20%を越える状況が近年続いていることが関係している。

 

「はぁ⤴? やっぱり分母(日本で言う「雇用保険被保険者数」)が少ないと、当然、「率」はあがるってことだね。」

 

ここまでまとめてきて、だいぶ印象が変わってきました。

じゃあここで、助成金申請の際、使用する「生産性」(労働生産性)は、どうやって計算するのかというと

「助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、その3年前に比べて6%以上伸びている

こと」という決め事とともに、

 

 

 

このような数式を用い、算定します。・・・・・・これってどうなのよ?(怒)

まず、分子から、茶茶を入れていきます。

 

「営業利益」を上げるために、当然、粗利の見直し、一般管理費の洗い出し等を行います。

 

当然「人件費」もです。営業利益を上げるために、人件費を下げる(結構大変です*2)この2つは相反する

科目と言えそうです。「減価償却費」は設備投資を行って初めて計上できる科目で、定率法で届出た場合、毎年

金額が減少していきます。毎年のように増額計上できるような科目ではありません。

 

「動産・不動産賃貸料」に至っては?です。

 

販売網を拡大しようとする元気な企業はまだしも、普通は固定費である「賃貸料」は条件が一緒なら、下げる

べき科目であるからです。

 

これが一番分かりません。「租税公課」。

 

まだ、経理処理を税込経理方式によっている場合には、費用として計上できますが、「売上」を上げなければ

増加しません。

 

ほか、事業用の自動車税、自動車取得税、自動車重量税、事業税、事業所税、印紙税、固定資産税、不動産取

得税、登録免許税、都市計画税、地価税などが、どのように「労働生産性の向上」に寄与するのか、顧客さまに

聞かれたらどう説明しましょう?

 

最後に分母です。分子を毎年同じと仮定してみましょう。

 

すると、従業員をたくさん雇用して、地域雇用に貢献している企業が計算上「不利」になります。(10人雇用

している事業所から1人辞めて9人に分母が1割減るのと、100人の事業所から1人辞めて99人。1厘減。同じ1人

でも前者の生産性のほうが上昇した。とみなされるからです。)

 

ここまで長々・だらだら・不満タラタラで書いてきて、チョット不安になってきましたが、申請はキチンと

数式に則り、行います。

 

ただ、上記計算式で言えば、「売上高」をちょこっといじれば(絶対ダメ!!)、助成金の増額、増率がすぐ

に出来ちゃう危険性ってないですか?

 

「助成金ほしさに決算書の改竄(いわゆる粉飾)が横行しないよね。労働局は見抜けるの?」

最後に、何が一番気になっているかといいますと、

「我々、社会保険労務士も労働関連法だけではなく、決算書を読めるくらいには、経理にも精通しないとお話にならない。」

と感じたことです。

(だって粉飾を見抜けなかったら、社労士の責任になるのでは?)

今後、助成金の申請に際し、「決算書、確定申告書」に触れる機会も増えるかと思われます。そんな時は、是非、お近くの社労士にも決算書を読ませてみてください。

助成金だけではなく、人件費の検討や、最適な福利厚生プラン、処遇改善など、なにかお手伝いできる事があるはずです。どうぞお気軽に!

士業なんて使ってなんぼです。

 

 

*1 「オフショア金融センター とは、厳格な意味でのオフショア市場である。通常は、小規模かつ低税率な法域であって、非居住者たるオフショア会社に対する企業向け商業サービスの提供とオフショア・ファンドによる投資に特化したものをいう」

(ウィキペディア オフショア金融センター(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A2%E9%87%91%E8%9E%8D%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC)より抜粋

つまり、①人口が少なく、経済活動がほとんど無い為、法人税率等を著しく低い税率に設定し、税負担コストを下げたい企業の誘致を行うオフショア金融センターと②人口も多く経済活動も活発ながら比較的低い税率や運営コストで各種サービスを提供して非居住者の経済活動も積極的に招致している金融センターの2種類に分類されそうです。

ちなみに日本の実効法人税率は、約30%です。

財務省 法人実効税率の国際比較(http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084.htm

 

 

*2 人件費の削減は、コスト削減を行う中でも一番デリケートで難しい項目でしょう。

・残業代など、割増賃金の削減、・給与・ボーナスのカット、・副業の解禁および推奨の他にも確定拠出年金(簡易企業型DC)の導入など法定福利費の削減も視野に入れるべきでしょう。

しかし、くれぐれも人件費を削減することの理由(会社の現状)と方法の説明はしっかりと行わないと、後で大変な事になるかもしれないので注意が必要です。